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お客様に選ばれるために大切なのはコミュニケーション。
話ができない動物に代わり、しっかりと病状や選択肢を伝えることが信頼関係につながります。

佐藤獣医科病院

出身大学:
日本大学
卒業年次:
平成7年度(1995年)
現在の所属:
佐藤獣医科病院

卒業後現在までの略歴

平成7年
東京都日野市の動物病院
平成9年4月
福岡市中央区 佐藤獣医科病院勤務

獣医師を目指した動機を教えてください。

私の父は開業獣医師で、自宅と病院が併設されていました。そのためお客様が犬や猫といった動物を連れてこられるのはよく目にしていましたし、我が家でも犬を飼っていたので、子どもの頃から小動物には親しみを感じていました。父は私に「資格を活かして働ける仕事に就いてほしい」と考えており、私自身長女だったので「いずれ父の病院を継ぐことになるのだろう」と思っていました。何か大きなきっかけがあって獣医師になることを決めたというよりは、ごく自然に獣医師を目指していた、という感じです。

現在のお仕事内容を教えてください。

2年間東京の動物病院で勤務した後、現在は福岡で父の動物病院で働いています。父と二人という小ぢんまりとした病院なので、獣医師としての業務のほか受付や事務、雑用全般もオールマイティにこなしています。犬・猫等の小動物の診療以外にも、爪切りやシャンプー、カット、動物のお預かりなど、幅広いサービスを提供しています。

仕事におけるポリシーは何ですか?

猫

どこの動物病院も、診療やサービスの内容は概ね同じようなものです。では動物病院がお客様に選ばれるために何が必要かといえば、それはお客様とのコミュニケーションだと私は思います。たとえば、犬や猫が大きな病気にかかったときに、リスクのある手術をするのがベストな判断とは限りません。お客様によっては、「うちの子には痛い想いをさせず、家で最期をゆっくり看取りたい」という方もいらっしゃいます。人間の患者と違い動物とは話ができませんから、その代わりお客様にしっかり病状やその治療法といった選択肢をお伝えし、「一度、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか?」と促す必要があるのです。そうすればお客様もペットの最期ときちんと向き合うことができますし、「この子を先生にお任せしてよかった」と感謝いただけることもあります。そのようにお客様と信頼関係を築けたときに、やりがいを感じます。

出産後の復帰はスムーズにできましたか?

私は出産後2ヶ月で職場復帰し、徐々に仕事量を元に戻していきました。
子供は4ヶ月から保育園に預けました。当初は、小さな我が子を保育園に預けることに罪悪感がありましたが、今となっては、物心つかない月齢で保育園へ入れたせいか、親に対する後追いもなく、直ぐに保育園での生活が当たり前になりました。
実際、保育園は嫌がることなく楽しく通ってくれていて、しつけや道徳もきちんと進めてくれていて、保育園にはとても感謝しています。
私にとっては、仕事をすることで子供との程よい距離感を持つことができ、適度なリフレッシュにもなり、自宅に戻ってからの家事や育児を頑張れた気がします。

どのように仕事と家事を両立させているのですか?

子どもが小さいうちは、講習会などに行く時間がとれなかったり、急に子どもが病気で保育園を休んだりと、育児が仕事に影響を与えることも少なくありません。そうした点では、やはり夫や両親の協力なくしては仕事と家事の両立はできなかったと思います。ただ、私の場合、自営業であるおかげで助かっている部分もあります。小さな病院なので常にお客様が満員というわけではありませんし、仕事の空き時間を使って子どものための準備などをすることもできます。それでもまだまだ帰宅してからの家事はバタバタで、育児の時間が十分とれているかどうかはわかりませんが……(笑)。

これから獣医師を目指す学生さんや、現在活躍中の女性獣医師のみなさんに伝えたいメッセージをお願いします!

夫婦ではなくお一人で女性開業獣医師を目指す方に向けてアドバイスしたいのですが、子どもが小さいうちは病気で保育園を休むことも多々あります。そうした場合に役立つのが、行政が用意している子育て支援の様々なサポート事業。自治体によってその内容や条件は違いますので、自分の住んでいる地域でどのような子育てサービスがあるのか、事前にしっかりチェックして、頑張りすぎずにそれらをうまく活用することが大切だと思います。あとは開業医の場合、あらかじめ無理なく子育てができる診察できる時間帯を設定しておくのもオススメ。朝の診療開始時間を9時ではなく10時にしたり、終了時間を6時と少し早めにしたりしておけば、子どもの送り迎えも余裕を持ってできますよね。そして育児に余裕が出てきたときに、診療時間を長くすればよいでしょう。診療時間を途中で短くするよりは、長くするほうがずっと簡単ですから。ぜひ、無理なく仕事と育児を頑張ってくださいね。