女性獣医師応援ポータルサイト

文字サイズ

  • 標準
  • 拡大
なんだかんだ獣医師なので、頭も技術もないなりにフル動員で検査して、エビデンスのある治療ができて、動物たちが応えてくれた瞬間は、ガッツポーズものです。

日立市かみね動物園

出身大学:
酪農学園大学
卒業年次:
2015年(平成27年)
現在の所属:
日立市かみね動物園(日立市役所)

卒業後現在までの略歴

平成27年4月
日立市かみね動物園(現職)

現在の職場に決めた動機を教えてください。

葉っぱを食べる動物、虫を食べる動物、空を飛ぶ動物、木の上で暮らす動物、外気温に体温をゆだねる動物・・・地球には本当にいろんな命があります。こうやってバラバラに見える命が、一個の地球に乗っかって、つながって生きていると学んだときに、私はものすごく感動しました。このおもしろさを一人でも多くの人に身近に感じてもらいたい、伝えたい、そして、人にも動物にも優しい地球の暮らしを目指したい!と思いました。 そこで、“動物園” =いろんな動物がいて、多くの人に動物の魅力を伝えるチャンスが大きい場所なはず!ということで、この道を志しました。

現在のお仕事内容を教えてください。

疾病の予防・診療・治療・剖検、感染症の対策、傷病鳥獣の保護、標本づくり、他園館や大学・家畜保健所・近隣隣動物病院との連携、展示動物の交換・登録事務、実習生の教育、猛獣脱出対策、イベントの企画・運営、ブログ・SNSでの情報発信・・・獣医師でなければできないことはほんの一握りかもしれませんが、動物のため・動物園のため(結局は自分のため?)に奮闘しています。

仕事のやりがいを教えてください。

ゴールも正解もない仕事、さらに自分の至らなさも相まって、ジレンマや悔しさ、むなしさと毎日仲良しなのが本音です。でも、健康な動物の姿や、来園者からいただく動物・動物園への感動の声、助けてくださるまわりの方々に支えられています。とくに、なんだかんだ獣医師なので、頭も技術もないなりにフル動員で検査して、エビデンスのある治療ができて、動物たちが応えてくれた瞬間は、ガッツポーズものです。

これまでに経験したエピソードを教えてください。

この2年間だけでも、フンボルトペンギン、ワオキツネザル、マンドリルなど多くの動物の母親代わり(人工保育)をしました。うまく育てられた子、亡くなってしまった子、大きくはなったけど本来の生態を欠いてしまった子、たくさんの失敗と成功がありました。
高齢動物に対するケアも経験しました・しています。かみね動物園を30年間も見つめ続けたロバや、もう目が見えないニホンザル、肌も関節もボロボロになってしまったカバなど。もっと体の痛みをとってあげられるんじゃないか、こっちのほうが食べやすいんじゃないか、もっと暖かい環境を作ってあげたら・・・これまでバリバリ動けていた、モリモリ食べていた、群れで生活できていた個体がそうじゃなくなる本人の精神的つらさも、ケアしきれない自分の至らなさにも胸がキューンとなります。
こんなふうに毎日動物たちと向き合っているはずなのに、人間の生活と重なることが山ほどです。子育てをする母親の偉大さ・命の尊さ・加齢のつらさ・高齢者介護の労力と精神力など。病める時も健やかなる時も支え合う家庭に憧れます!が、結局まだまだ自分のことは考えられない日々…。

これから獣医師を目指す学生さんや、現在活躍中の女性獣医師のみなさんに伝えたいメッセージをお願いします!

“獣医師だから”できること、“私だから”できることをコツコツ増やしていきたいです。そして、たまにできるガッツポーズを毎日できるようになりたいです。