千葉県農業共済組合連合会 中央家畜診療所
- 出身大学:
- 日本大学
- 卒業年次:
- 平成17年度(2006年)
- 現在の所属:
- 千葉県農業共済組合連合会 中央家畜診療所
卒業後現在までの略歴
- 平成18年
- 千葉県農業共済組合連合会 北部家畜診療所勤務
- 平成21年
- 中央家畜診療所に異動
現在の仕事・職場を選んだ理由を教えていただけますか?
大動物臨床を志したきっかけは大学2年生の夏に行った牧場実習でした。約1か月間にわたる牧場実習は毎日が刺激的で、牛の世話の大変さを知ると同時に、牛の魅力にどんどん魅了されていきました。さらに翌年、牧場へ往診に来ていた獣医師のもとで実習を行い、ダイナミックな診療を目の当たりにすることで、産業動物の道に進みたいと強く思うようになりました。ただし、産業動物獣医師の世界は男性社会のイメージが強く、女性の就職は難しいという風潮があったのも事実。恩師に相談したところ、「実際に女性獣医師が活躍している職場を選ぶのがよい」と助言を受け、妊娠出産後も臨床現場で活躍する女性が多かった千葉県農業共済組合連合会に入会しました。
現在のお仕事内容とやりがいを教えてください。
現在の診療所管内には乳牛、肉牛、豚がいますが、主に診療しているのは乳牛です。産業動物の診療は生産性を重視して行うため、予後判定がシビアに求められ難しいと感じることもあります。一方、やりがいを感じるのは繁殖に携わることで牛群が改良されていくのを見ることができること。私たちの診療所ではホルスタインの自家育成と品種改良を積極的に手掛けているのですが、ここで特に重要となるのがタネの選定です。最終的な選定は診療所に所属する専門の授精師が行うのですが、私たち獣医師も地域の牛の特性や歴史といった情報から最適なタネ選びに参加し、積極的に受精師と意見を交換することができます。その結果、ホルスタインが徐々に現代型の新しい体に変わっていく。牛の立ち姿を見るだけでその変化はすぐわかりますし、改良がうまくいけば農家の生産性にも大きく役立つことになります。そうした自分たちの提案が農家の方に喜んでいただけたときは、とてもうれしいですね。
出産後職場復帰してから、仕事と家庭の両立に苦労されたことはありますか?
復帰してすぐのころは、それほど大きな苦労は感じませんでした。というのも子どもがまだ小さく寝るのが早かったので、比較的自分の時間をとりやすかったからです。大変だったのは子どもがある程度大きくなってからですね。子どもが寝る時間が遅くなってくると家で空き時間を作るのが難しくなり、家でやろうと思っていた仕事の準備などもできなくなりました。また、保育園に預けた子どもが急に熱を出したりすると、仕事を中断して迎えに行かなければならなくなります。私が育児のために仕事を休めばそれだけ職場の仲間にしわ寄せがいくことになるので、申し訳ない気持ちでいっぱいになることもありました。体力的にもきつく、仕事を続けていくのが難しいのではないか、と感じたこともあります。
どのようにして、仕事と家庭の両立という壁を乗り越えられたのでしょうか?
周囲の人のサポートのおかげだと思います。まず、力強かったのは職場の先輩・同僚の皆さん。私の職場では出産後に女性獣医師が職場復帰した事例が複数ありますし、今も子育てを終えた女性獣医師の方が一緒に働いています。そういう職場なので子育て中の女性獣医師に対する理解はとても厚く、いろいろアドバイスいただくこともありますし、育児のため急に欠勤したり、早退したりするときにも温かく気遣っていただいています。仕事で出会う農家の奥さん方も、多くは子育てと仕事を両立した経験がある方々なので、よく育児に関する話をさせてもらったりしていますね。そして忘れてはならないのが夫の手助け。特に家事の分担を明確に決めたわけではないのですが、夫は積極的に家事を手伝ってくれますし、毎朝子どもを保育園に送ってくれるのでとても助かっています。夫には感謝の言葉をその都度伝えるように心がけています。
ストレス解消法やリフレッシュ方法があれば教えてください。
昨年ふたり目の子どもが生まれ、育児の負担もストレスも増えたといえるのですが、その反面、こどもたちがふたりで仲良く遊んでいるのを見ると、やはり心が癒されるのを感じますね。リフレッシュの手段として、趣味の時間を確保したりするのは今は難しい状況です。むしろ、仕事をしている時間が私のリフレッシュの時間といえるかもしれません。育児中は子どもから離れることができませんが、仕事中は忙しくともある程度自分のペースで動くことができます。もともと私はこの仕事が好きですし、職場復帰後に「続けていけるのか」と悩んだときにも「自分にはこの仕事しかない」という気持ちで迷いを振り切りました。好きな仕事に打ち込むことは、何よりのストレス解消法であり、気分転換なのではないか、と思います。