オホーツク農業共済組合大空支所女満別診療所
- 出身大学:
- 麻布大学
- 卒業年次:
- 平成20年度(2008年)
- 現在の所属:
- オホーツク農業共済組合大空支所女満別診療所
卒業後現在までの略歴
- 平成20年
- 大空支所女満別診療所
産業動物獣医師になった理由を教えていただけますか?
大学に入った頃は将来の具体的な仕事まで決めておらず、動物病院、動物園などさまざまな職場で実習を経験していました。その中で出会ったのが、現在働いている診療所。実習をさせていただいているとき、先生方がイキイキと仕事をしている姿を見て、自分もこの仕事がしたいと思うようになりました。また、自然が豊かで食べ物がおいしい女満別という土地に惹かれたのも、ここに入ろうと思った決め手の一つです。
仕事の中で気をつけていることはなんですか?
現在の仕事は主に乳牛と黒毛和牛の診療なのですが、牛は非常に身体が大きい動物なので、注意して接しないと角で突かれたり蹴られたりして怪我をすることがあります。最初に先輩方から強く言われたのも「とにかくケガだけはしないように」ということ。仕事の中で気をつけているのは、牛の動きに注意することと、注射をするときなどの保定(ロープ等で牛を固定すること)をしっかり行うこと。自分の手で「牛が暴れても絶対大丈夫だ」と思えるまで丁寧に保定した上で、診療・治療を行うようにしています。
どんなときに「この仕事をしていてよかった」と思われますか?
自分が一生懸命治療した牛が回復し、元気になった姿を見るときが一番うれしいです。私は和牛の子牛を診る機会が多いのですが、子牛というのは身体が弱りやすい反面、驚くほど急激に回復することも珍しくありません。今にも死にそうになっていた子牛が、次の日には元気に歩き回っていたりする。そういう場面に出会うと、頑張ってよかったな、と思えますね。そして、農家の皆さんと一緒に牛乳や肉の生産に携われることにも喜びを感じます。難産を経て無事子牛が生まれたときなど、「ありがとう。横澤さんのおかげで助かったよ」といった感謝の言葉をいただけることもあります。
妊娠期間中、仕事で苦労したことはありますか?
妊娠期間中は診療件数を減らしていただき、先輩方が体への負担が大きい診療を率先して行ってくださったおかげで、無理なく働くことができました。また、妊娠6ヶ月目ごろからは診療業務を離れ、内勤の事務職で働かせていただきました。職場には育児経験を持つ先輩がたくさんいらっしゃいますのでこうした働き方に対する理解は厚く、出産までの間は本当にスムーズに働けたと感じています。
現在は育児休暇中とのことですが、出産・育児経験は仕事に役立つと思われますか?
妊娠、出産、授乳などを経験することで身をもって牛の気持ちを勉強できることは、産業動物診療に役立つと思います。たとえばこれまで何度も牛の難産介助をしてきたのですが、実際にどれだけ分娩が大変なことかは経験してみないとわからないことですから。日々、新しく学ぶことがたくさんありますし、職場に復帰してからはこの経験を活かしたいですね。
育児ではどのような点で苦労されていますか?
今は朝まで寝てくれるようになりましたが、2~3ヶ月までは毎日夜泣きをしていたので睡眠不足の状態が続きました。赤ちゃんのケアは自分のペースではできず、仕事とはまた違った大変さがありますね。でも、育児の楽しみはその何倍もあります。大人と違い、小さい赤ちゃんは毎日成長します。体重もどんどん増えていきますし、おっぱいをたくさん飲めるようになったり、表情が豊かになってきたり、声を出してはしゃいだり、うつ伏せができるようになったり――そういう日々の変化や成長を見ているととても面白く、見ていて飽きることはありません。
忙しい育児の中、実践されているリフレッシュ方法があれば教えてください。
ストレスをためないために心がけているのは、「目標を厳しく設定しない」ということです。最初の頃は「今日は部屋のここを掃除しよう」などと目標を決めて家事・育児をしていたのですが、赤ちゃんは急に機嫌が悪くなったりするのでそう予定通りにはいきません。最近は「できるときに、できることをやろう」というぐらいの気持ちで、ゆったり構えるようにしています。それから、仕事をしていた頃は時間がなくて弾けなかったピアノを、最近また始めました。赤ちゃんを見ながら、短い時間でも楽しめますし、赤ちゃんも音楽が好きなのか、私がピアノを弾きだすとぐっすり眠ってくれます。一石二鳥ですね(笑)。